皆さん、こんにちは!
前回は円安(ドル高)についての基本的な用語をご説明しました。
今回は、実際に今、
・円安(ドル高)がどうして起こっているのか
・対策はどのようにすべきか
について簡単にご説明していきます!
主に中高生の皆さんに向けての記事なので、
難しいことは置いておりて、
なるべく簡潔に分かりやすくご説明したいのですが、
塾長も金融についてはまだまだ勉強途中なので、
完璧な説明ではないかもしれません。
学校では教えてくれないシリーズでは、
塾長は先生ではありません。
勉強中の”生徒(=塾長)”が”生徒(=皆さん)”に教える、そんなつもりで、
塾長が学んだことを噛み砕いて皆さんにシェアできたらと思います!
円安(ドル高)がどうして起こっているのか
※この記事を書いている2024.05.24午後4時現在、
1ドル=156円37銭です。
2年前の2022.03.28、
6年ぶりに1ドル=125円にまで円の価値が下がり、
世間では”良くない円安”が起こっていると騒がれていましたが、
ついに今年2024.04.26には、
1ドル=158円44銭にまで円安が進みました。
これはおよそ34ぶりの円安ドル高水準だそうです。
なぜ先月末にこれほどまでの円安が進んだかを説明するには、
まず2年前の円安にさかのぼってお話する必要があります。
円の価値が高い時と低い時とは?
前回お話しした通り、
円相場というのは他国の通貨と比較した時の円の価値です。
そして、通貨の価値というのは、その通貨の人気度によっても変動します。
例えば、人気アーティストのライブのチケットは中々取りづらく、
その分価格も高くなっていますよね。
しかし無名のアーティストのチケットは簡単に取れてしまうので、
売るために値下げなんかしたりもして、安くなっていますよね。
それと同じで、「円を持っておきたい!」と思う人が多ければ多いほど、
円の価値は上がります。
逆に「円よりもドルを持っておきたいな」と思う人が増え、
円を売ってドルを買う人が増えると、
円の人気が下がり価値が落ちます。
これが”円安ドル高”です。
2022の円安が起こった理由
では、通貨の人気が高くなるのはどういう時でしょうか。
様々な時がありますが、
今回ポイントとなるのは”金利”です。
「金利」とは、お金をどこかに貸すときにもらえる利子のことです。
銀行にお金を預けるときは銀行にお金を”貸している”状況なので利子がもらえます。
どこかの企業に投資した場合も、その企業にお金を”貸している”状況なので利子がもらえます。
つまり、
「金利」が高い通貨を持っておいた方が、
より多く利子で徳をすることができます。
お金を”貸す”側からすれば「金利=利子」が高い方が嬉しいので、
「金利」が高い通貨の方が人気が出ます。
2022年には、景気が良くなったアメリカが金利を高く引き上げました。
理由は、コロナが終わり経済活動が盛ん(=好景気)になったことで
インフレーション(=物価上昇)が起こっているので、
金利を高くすることでインフレを緩やかにするためです。
(なぜ金利を高くするとインフレが穏やかになるかは今回は説明を省きます。)
通常、アメリカでドルの金利が上がるなら、
日本でも円の金利が上がることが望ましいです。
なぜなら、金利の高低差が大きくなってしまえばしまうほど、
先ほどお話しした通貨の人気度に差が出てしまうからです。
しかし、
日本は景気が良くないので、金利を上げることができませんでした。
景気が良くない時に金利を上げるとさらに不景気が加速するので、
上げたくても上げられないのです。
これには深い理由があるのですが、
話が1990年ごろまでさかのぼってしまうので省略します。
こうして、
好景気で金利を上げたアメリカの”ドル”と、
不景気で金利を上げられない(むしろ低金利政策をずっとしている)日本の”円”では、
通貨の人気度=価値に格段に差が出てしまいました。
これが2022年に起こった円安の原因と言われています。
2024.04.26の円安が起こった理由
そして今年円安がさらに悪化した理由は主に3つあるようです。
①アメリカが金利を下げるかもしれなかったが、しばらく下げないと発表したこと
②ハマスVSイスラエルという中東情勢の不安から原油価格が上がったこと
③日本の実力不足
①アメリカが金利をしばらく下げないと発表したこと
アメリカは4/25までは、そろそろ金利を下げても良いかな〜という姿勢でした。
しかし4/26に発表された
PCE(個人消費支出の物価指数の伸び)=「景気の良さ」を表す指数が、
予想を上回っていたのです。
そのため、FRB(連邦準備制度理事会)=アメリカの金利を操作するところは
金利を下げないことを発表しました。
つまり、
「好景気が落ち着いてきたからそろそろ金利下げようと思っていたけど、
予想以上にまだ好景気だから、やっぱり金利下げれないわ〜」と発表したということです。
アメリカの金利が下がれば日本との金利の差が縮まるので、
ドルと円の価値の差が少なくなる見込みでしたが、
このアメリカの発表で
まだアメリカの金利が下がる見込みがないことが分かったので、
ドルは人気のまま、
ドルを持っていた人たちは、まだドルを持っておきたいので売らず、
円は持たなくていいや〜となってしまい、
4/26に円安が加速したのです。
②ハマスVSイスラエルという中東情勢の不安
中東情勢に不安があると、原油の価格が上昇します。
原油の価格が上昇すると、
→世界的に物価が上がる圧力がかかる
→アメリカはますます金利を下げられず、日本は金利を上げられない
→日米で金利格差が大きくなる
→円安ドル高
という流れで円安が加速します。
③日本の実力不足
この理由が一番根本的な理由です。
日本では今、
経済成長率が著しく低く、人口も減少、少子高齢化が進んでいます。
また、
以前のように産業が活発なわけでもなく、
イノベーティブな企業もなかなか生まれていません。
そんな国の通貨である”円”が、
世界的に見ても人気があるわけがありません。
人気のない”円”の価値は下がっていて当然なのです。
対策はどのようにすべきか
一人一人の対策の必要性
政府や日銀の介入は必須ですが、
私たちは誰かが何か対策してくれるのをただ待つだけではいけません。
それでは資産を守ることはできないし、増やすこともできません。
日本人は小さい頃から気づかないうちに
「お金の話をすることははしたない事」
「お金を持っている人=悪いことをしている」
「投資は詐欺、胡散臭くて危ない」
と思うような洗脳に近い教育を受けています。
学校でもお金に関わる大切な話はしてくれません。
だからこそ、
「円で貯金するのが一番安全」という思想が根強いですが、
一番安心なんてことはありません。むしろリスクが高いです。
昔は銀行に預金すると利子が高く資産が増える時代もありましたが、
今や利子は0に限りなく近く、預けていても対して増えることはありません。
そして、”円”の”価値”は絶対安定ではありません。
あなたが持っているその10,000円の価値は、
この先も絶対永遠に10,000円でしょうか。
ただでさえ「円安」で”円”の価値は下がっているのに、
この先、今の10,000円が10円の価値にならない保証はありません。
だから、
国に頼るのではなく、
個人個人が自分の資産を守るために行動しなくてはいけないのです。
具体的な対策方法例
『リスクを分散する』
持っている資産を
・現物資産・・・純金、プラチナ、土地、建物、ETFなど
・金融資産・・・預貯金、株式、投資信託、商品券、ETFなど
・外貨資産・・・海外の通貨(ドル、ユーロなど)
に分けて持つということです。
中高生のみなさんは、
不動産や株式と言っても馴染みがないと思うので、
将来資産を持った際に、
「預貯金だけでなく、一部バランスよく違う資産にも変えて、
リスクを分散しておいた方が良い。」
と言ってた大人がいたな〜くらいに
頭の片隅に置いておいてください。
ただし、
気をつけていただきたいのは、
「リスクが全く無い」ものは存在しないということです。
これをやっていたら絶対安心なんてものはありません。
そういうことを謳っているものは詐欺です。
損をしないためにはしっかりと勉強し知識を持って
選択することが必要です。
最後に
いかがでしたか。
今回は今話題の「円安」から始まり、
将来覚えておいて欲しいことまで話が進んじゃいました。
今日本で、世界で起こっていることを、
少しでも理解するきっかけになってくれていたら、
嬉しいです。
世の中の動向に興味を持ち、自ら考え、
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